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愛宕山の植物 - 春〜初夏の散策

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フデリンドウ

筆竜胆。リンドウ科リンドウ属の越年草。学名 Gentiana zollingeri。蕾の形が名前の由来。高さ数~10センチで、1本の茎に数輪の鮮やかな花を付ける。花期は4~5月で、林の宝石と言っても良い可憐な花で、日があたると開花し、曇りや夕方には閉じてしまう。閉じた状態が「筆先」に似ているので、この名がついた。花が終わると豆粒のような実(蒴果、さくか)ができる。中に種子がつまっているこの蒴果は、花弁とは逆に、晴れると閉じ、雨になると開きます。種子を乾燥から守りつつ、雨水を利用して種子を蒔くフデリンドウの戦略。


曇ると閉じ、夕方にも早々と寝てしまうので、鑑賞するには晴れた日の午前中が良い。
フデリンドウは咲く環境を守っていかないと簡単に絶滅する種です。昔は林の中で多く見られたフデリンドウですが、今、福岡市内で見れるチャンスは滅多にありません。このため、福岡ではまだ指定されていませんが、数都府県で絶滅危惧種に指定されています。
フデリンドウは移植に弱く、家で楽しもうと思って採っていっても必ず枯れてしまいます。貴重で希少な花ですので、自生している場所で皆で鑑賞し、採らずに撮ってください。

この画像だけを見ると、絶滅の危機にあることを忘れてしまいます。しかし現在、愛宕山でこのようなフデリンドウを見ることができるのは、わずか4~5か所のみ。フデリンドウは育つ環境が限られていて、木漏れ日が差し、他の草で覆われていない場所でしか育ちません。この場所のフデリンドウはこのように多く咲いていましたが、直上の樹が強剪定されて日差しが強くなった結果、今では絶滅してしまいました。

間もなく開花。今までに見つけた最多の蕾数。1本で20ほど。ハルリンドウに似ていますが、ハルリンドウは茎1つに花1つ。

開花したフデリンドウ
淡い青紫色の花ですが、個体によって微妙に色が異なっています。花の中心にある白い柱頭は2つに裂けています。

フデリンドウの蒴果
咲き終わると「筆先」に豆粒のような形の実をつけます。種子を包む蒴果(さくか、子房)は閉じていますが、雨天の際に開いて、中にある細かい種子を雨水で周りに流します。

雨上がり直後のフデリンドウです。蒴果が全開しています。良く見ると、小粒な種子がこぼれ出ています。

秋になると新たな芽が育ち、翌春の開花をめざして厳しい冬を越す。花が開いていない時には目立たず、注意していないと踏みつけて茎を折り、ダメにしてしまう。標識の看板がある場所には立ち入らないようにして頂きたい。

展望台のある大山祇神社跡公園は、かつてはフデリンドウの大群生地でした。工事による改変で今は見る影もなく、フデリンドウは整地箇所の周りにわずかに残っていますが、外来植物に覆われ、放置しておくと消滅しかねません。

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